鉄骨工事技術指針・工場製作編

 

品質マネジメントと品質保証

品質マネジメント

  1. 設計品質を明確にする
  2. 設計品質を効率よく満たすために計画を立てる(Plan)
  3. 教育訓練をする
  4. 計画どおり実施する(Do)
  5. 実施した結果とチェックする(Check)
  6. 結果に問題があれば根本原因を追求して処置を講じる(Act)

 

プロセス管理と検査

  • 検査・検証
    1. プロセスの作業の適否をチェックする
      • 検査・検証は不適合品を除くのが目的でなく、不適合品の発生原因となるプロセス上の問題点を見つけるのが目的
    2. 製品が次のプロセスに対して適切なものとなっていることの確認
      • 対外的に見た場合には保証すべき品質が確保されていることを証明する

 

工作図

 工作図の役割

  • 所定の品質の鉄骨製品を効率よく製作することを目的として作成される
  • 工事現場の建方単位に分割した全鉄骨製品について、一品ごとの材質・形状・寸法・数量または取合構造などが明示されている必要がある
  • 設計者・工事監理者と施工者あるいは鉄骨製作業者のそれぞれの立場で意図する内容についての相互確認や照査の手段として使われる
  • 設計図書入手後に発生した設計変更や追加などの処置の確認に工作図は不可欠
  • 各作業における作業指示書や自主管理に必要なチェックシートとしての役割
  • BIM (Building Infomation Modeling) 」と呼ばれるコンピュータ上に作成する3次元の建築モデルで、建築に関わるあらゆる情報を集約・統合し、「見える化」したもの
  • BIMを活用することで、施工前の構造と設備などの観賞チェックが可能になり工作図の整合性を確保できるので、プロジェクト全体の流れを効率化して品質確保につなげることが可能となる

工作図の内容

  • 一般図
    • 建物の骨組となる柱や梁などについて、基礎部や各階および各通り、各面についての構造を表現したもの
    • それぞれの構造部材の取合関係や配置を明確にし、詳細図作成の基本となるもの
  • 基準図
    • 詳細図に逐一記載すると繁雑になる内容や共通的な内容をまとめて表現
    • 高力ボルト接合部におけるボルトの種類や配列あるいは溶接継手部の形状などを分類して図示したもの
    • 工事現場施工に必要な仮設部材・設備関連部材・内外装取合部材などの詳細図や配置図など
  • 詳細図
    • 工事現場建方単位に分割された鉄骨製品ごとに詳細形状・寸法やそれぞれに取り付く部材の位置・形状などを詳細に図示したもの

 

工作図の作成手順と要領

  • 設計図・仕様書内容の把握
    • 作図後承諾・承認申請用の工作図を提出する前に検討用として提出し、施工者や必要に応じて工事監理者による事前チェックを受けておくことも行われている
    • 検討すべき項目
      • 契約事項のうちで工作図に関係する事項
      • 工期(工場製作期間・工事現場施工期間)
      • 使用鋼材や接合材料に関する問題点
      • 設計図書の記載内容の不明確な点や設計図内での食違い
      • 工場製作上の問題点
      • 輸送上の問題点
      • 工事現場施工上の問題
  • 製作・施工上の検討
    • 工場製作や工事現場施工の可否または施工性の難易度を検討しながら進める
      • 特に柱梁接合部や柱脚部
    • 輸送制限や工事現場建方または溶融亜鉛めっき施工などを考慮した鉄骨製品の形状・寸法
  • 打合せ
    • 施工者や工事監理者は必要な設計図書や各種情報を必要な時期に鉄骨製作業者に提示することが重要
    • 付属金物類はとかく決定が遅れがち
      • 形状・寸法・取付け位置を保留のまま、柱・梁などの製作を開始すると、工程の途中で一時生産ラインから外して仮置しておき、決定後にこれらの付属金物類を取り付けることになり、鉄骨部材の移動に伴うロスや手戻りが発生し、作業時間の損失、工程混乱の原因となる
        • 作図前に施工者(設備工事担当者や仮設計画担当者など)と十分打ち合わせを行う
    • 工作図作成の要領や日程、あるいは詳細部や付属金物類の決定遅れによる工場製作・建方工程の遅れが予想される場合の対応策についても打合せを行っておく
  • 作図要領
    • それを使用する者が誤読・誤解しないように、正確かつ丁寧に描き、わかりやすい図面にする必要がある
    • 原則としてA1判
    • 原則として第3角法
    • 伏図、キープラン:北方向
    • 詳細図:北または東方向
    • CADシステムによる工作図の作成
      • 一般図と詳細図の内容に入力ミスなどによる不整合がないか
      • 文字の重なりや寸法補助線の表示ミスなど、製図上の不備がないか
      • 複写機能など簡便な操作機能を用いたことによる作図ミスがないか
      • 設計変更・追加処理が正しく行われたか
  • 承諾・承認手続き
    • 承諾申請用工作図:鉄骨製作業者 → 施工者
    • 施工者は承諾し、承認を受けるために工事監理者に提出する
    • 設計上および施工上の安全性・耐久性など性能保証の責任は施工者や工事監理者にあり、その他の責任は製作工場側が負う
  • 追加・変更の処理
    • 工作図の作成は工場製作工程の最上流に位置しているため、工作図作成工程の混乱は、品質・コスト・日程の面で多大な影響を与えるおそれがある
      • 工作図に必要な情報の決定遅れや設計追加。変更などはないことが望ましい