鉄骨工事見積チェックリスト
(積算時の見落しを無くすために)
はじめに
鉄骨工事は一工事、一工事全部内容が違います。
Ⅰ期Ⅱ期に工期が分かれているからといっても、その都度、施主の要望、設計者の見直しによる変更追加が生じない、という保証はありません。
(ex:塗装の仕様を変えた。構造を見直した。)など、枚挙に暇(いとま)が無いほどです。その都度、対応、見積の提出の労力、手間暇も大変なものです。
然しながら考え方によっては、厳しい予算でも、タイミングよく対応し、客先に納得頂ければ、十分予算を獲得出来るチャンスとも言えます。営業~積算~加工の各担当者に依る連携が極めて大切になってくると思います。
以上の状況を考慮に入れて考えて参りましょう。
①見積・積算の目的・・原価の把握
単なる数量を拾うのみならず、絶えず「原価を意識して」、「加工費がいくら掛かるか、別途エキストラ(特殊加工)をどのように見込むか・・」を考えなければなりません。
一見して簡単そうな鉄骨でも、必ず、特殊な項目、あるいは落とし穴(ex:塗装、設備関連、)があるもの、として図面をチェックして下さい。
最近の傾向として、「2005年10月姉歯問題」で、第三者のチェックが入り、図面がより細部にわたり描かれるようになり、積算能力が求められるようになって来ました。(ex:立体駐車場の衝突防止用手摺の鉄骨補強)
いずれにしても、最初に情報を手にし、そこからコスト算出、注意点をマークし、営業、製作へと繋げていく大変重要な部門です。
② 毎回仕様書の確認を行う。
全部読むことは大切ですが、見落としを無くすため、あるいは時間が無い時は、別の方法も考えましょう。
a:見積者が積算時、通常と違う項目があれば設計図にチェックをし、説明する。
別の書類を作る必要はありません。何故なら、現実の図面を見てもらうことが大切です。
この場合次項に述べる、重要度のランク付けをしておくと、スムーズに相手に伝わります。
b:三者(積算・営業・加工)が集まり、事前の資料を基に、検討し、必要最低原価(人工)を算出する。
・・・意外と、この数値を把握し周知徹底しているところは少ない。
原因として、
ⅰ:一人二役、三役で作業していると、集計しにくい。
ⅱ:結果が示されないと、続かない。
示されても予定通りに消化できない、あるいは予定内より少ない人工で終えても報酬が無いと、モチベーション(意欲)が低下する。
などが、考えられます。
社内にこの流れが、定着するまでは、TOPが、まず、2~3回ほど、手本を示す。
腹心の部下と一体となって、まずやって見せることから始めましょう。
最低3ヶ月は必要です。
が、3ヶ月続けると数字も頭に入って来ます。
③ 質疑回答保留・変更・追加・未決(工事範囲・寸法・追加部材など)は頻繁にあるもの。
上記のどの状態であるかを、お互いによく認識することが必要です。
ex:剛ジョイントにGPLが干渉する・・「G形状変更可能(変更)」or「B梁を一列増やす(追加)」どちらかで請求の方法が変わる。
(変更)ならば必要無し。
(追加)ならば請求必要となる。
営業側:取決め、コスト増のお金の回収に目が行く。
製作側:不具合を減らす。納まり、加工し易さに目が行く。
双方立場が違いますので,「変更」「追加」「保留」を、会話の中でハッキリさせておくとスムーズに進みます。
図面チェック上の重要度
Aランク(影響大)
サイド(ウィング)プレート 15~20万/T
ⅰ:梁FLGの両サイドに寸法指示で取り付くタイプ
ⅱ:柱のコラム径の幅を要求するタイプ
座屈止め 20~30万/T
UT対象箇所・・特記 500~1000円/ヶ所 開先加工 1.000~2.000円/M
材質・・400→490 3.000~7.000円/T
メッキ処理 5万~8万/T
ショット(鉄)ブラスト処理 サンド(砂)ブラスト処理 1~3万/T
Bランク(影響中)
十字梁(飛行機梁) 3万~5万/ヶ所
HY→BH変更(ロール対応) 3~5万/ヶ所
剛JOINT増 2~5万/ヶ所
柱 水平方向 火打ち材 20万/T
ピン取り合い→剛接合
工場加工→現地溶接
柱JOINT 階数or運搬・現地考慮
Cランク(影響小)
屋根折版の嵩上げ +50㎜
ノンスカーラップ工法
ダイアフラムの出寸法 25㎜or30㎜or指定寸法?
WEB GPL→WEB2PL
JOINT LIST のピッチ、端あき (WEB BOLT 2列配置)