おはようございます U-style です
本日ご紹介する一冊は 世界史を変えた新素材 (新潮選書) です
一見すごく堅そうな本ですが、中身は…堅いんです笑
というのは冗談で大変面白い内容となっております
12種類の材料に焦点をあて、歴史や現代に置ける役割が綿密に描かれています
著者の材料に対する熱意というか愛情が感じられ、読んでいて大変面白いです
もちろん、ものすごく勉強になります
では、引用と感想をご紹介します
鉄の何が優れているのだろうか。答えは、鉄が圧倒的にたくさんあることだ。地球の表面に存在する元素の割合を表す「クラーク数」で、鉄は四・七で四位につける。金属では、アルミニウムに次ぐ数字だ
いきなり鉄の話で申し訳ない(?)のですが、4章で鉄の話が出てきます
しかもクラーク数は人類の目の届く範囲だけを対象としているため、地球内部に多量の鉄が存在するので、地球全体でいくとその重量の三割は鉄になるとのこと
歴史を変える材料には、その希少性ゆえ尊ばれ、誰もが欲しがったものと、安く大量に生産されて行き渡り、世の中を変えるものとがある。第1章で取り上げた金が前者の例なら、鉄は後者の代表選手といえるだろう。
ふと、これは材料に限った話ではなく、後者はフランチャイズ理論もこのようなことに当てはまるなぁと感じました
コンクリートには圧縮には極めて強いが、引っぱりには弱く、ひびが入りやすいという弱点がある。これは、鉄とは全く逆の特性だ。
そこで、鉄で作った骨格をコンクリートで覆った「鉄筋コンクリート」が、十九世紀半ばのフランスで開発された。鉄とコンクリートは互いの弱点を補い合う上、アルカリ性のコンクリートで覆われた鉄は錆びることなく長持ちする。
やはり建築の記述に目がいってしまったのですが、現代の建築材料の大半が鉄とコンクリートであることを考えると、よくできているなぁと感心してしまいます
ちなみにここは「炭酸カルシウム」の章です
よく、車輪は人類の偉大な発明のひとつといわれる。人類の発明の多くは、自然界にあるものからその原理を学んだものだが、車輪だけは完全なオリジナルだからだ。確かに、自然界には何百万という動物がいるが、車輪で移動するものは見当たらない。
車輪は足で歩くよりも、ずっとエネルギー効率に優れる。これは自転車に乗ってみればすぐ実感できることだろう。なのに車輪を使う生物がいないのはなぜか。
車輪は凹凸に弱く、直径の四分の一の段差があると超えるのが難しくなり、二分の一以上の段差は原理的に超えられない。
ここは深く納得させられました。確かにそのような動物はいないですし、自然界に(舗装された道路なくして)車輪が活躍できる場がなかったのですね
おもしろいです
磁石の示す北の方角は、時代によっても揺れ動いていくことが後に判明する。
伊能忠敬(一七四五〜一八一八年)は全国を測量して回り、一七年がかりで正確な日本地図を作成したことで知られる。実はこのころは、たまたま日本付近の偏角がほぼゼロであったため、誤差が出にくかった時代だった。彼の地図の驚くべき正確さは、丹念な測量が最も大きな要因だが、幸運に恵まれた結果でもあったのだ。
磁石のそのような性質も知りませんでした
また、伊能忠敬も多かれ少なかれ幸運に恵まれての結果だったのですね
「二〇年もたてば、あなたがたは電気に税金をかけるようになるでしょう」
フェラデーが電磁誘導の実演をした際に「何の役に立つのか」といわれて答えた一言
諸説あるようですが、すばらしい答えだと思います
イノベーターは勇気を持ってこのような考え方のもと動き出すことが始まりですね
今や我々は、プラスチックの繊維で作られた衣服を身にまとい、プラスチックの椅子に腰掛け、プラスチックの食器で飲食をし、プラスチックカードで料金を支払う。プラスチックの媒体に記録された映像をプラスチック製の画面に映して眺め、このため低下した視力をプラスチックのレンズで補って生活している。
頭おかしなるわ!笑 すみません「プラスチック」入力しすぎました
というほど、「ポジション奪取力」が強力なプラスチックです
欠点の少なさと変幻自在さが特徴ですが、反面の環境問題にもしっかりと触れております
第二次世界大戦を制して名実ともに覇権国家となったアメリカは、宇宙開発においても世界のリーダーであることを疑っていなかった。そこに突如もたらされた「ソ連が人類初の人工衛星打ち上げに成功」の報は、アメリカをかつてないパニックに陥れた。単にプライドを傷つけられたという程度のことではない。このまま手をこまねいていれば、ソ連はやがて手の届かぬ宇宙から、アメリカの各都市にミサイルの雨を降らせてくるのではないかーそんな恐怖が全土に広がった。いわゆるスプートニク・ショックだ。
近代の「材料科学(マテリアル・サイエンス)」の元となる象徴的なできごと
材料が地球の中から始まって、宇宙に向かっていく過程でさまざまな研究・開発・発展が行われていくと思うとなんだか感慨深いものがありますね
人類の発展 = 材料の発展 としか思えてこなくなります
本書を読み終えて世界が「材料」で出来上がっていることに改めて痛感させられます
材料を通して見えてくるものがこんなにあったことが驚きです
材料の話ですが、やはりそこに目をつけた・発展させた「人」への焦点の当て方がうまいから
読んでいて面白いのだろうなと思いました
ご興味のある方は是非読んでみてください
ありがとうございます